満ちない三日月

九州にUターン移住を考える25歳の自分探し

与えられた仕事から天職を見つけたいあなたへ

3月は説明会解禁の月。
半年前まで新卒採用担当をしていました。学生さんと話していて感じたのは、「仕事で自己実現したいけど、何がしたいのか・向いているのか分からないから、とりあえず仕事を経験したい」って人が結構多いな、ということ。
何を隠そう、自分自身がこの天職探しに就職したタイプです。
このタイプの就活生に伝えたいのは、まず天職は見つかりませんよということ。
何故か。恥ずかしながら、自分の例を使って考えてみようと思います。

就活

4年前の私は、いわゆる大手の化学・素材メーカーを巡っていました。(ちなみに、現在Uターンを希望している九州の企業にESを出したのは、1社だけ)
ジョブローテーションがあるのが大きな志望動機の1つでした。メーカーの文系総合職は、技術職に比べて人数が少なく、専門知識も持ったゼネラリストが求められます。そのため、若いうちは2~3年ごとに部署を回す会社が多かったのです。
ジョブローテーションは、天職を探す人間にとっては、向いている職に巡り合える可能性を高める格好のチャンスだと思いました。

就職後

かくしてある素材メーカーに就職し、さらに幸運なことに1年ごとに様々な部署を回る機会を手に入れました。
現在まで、人事部やシステム部、工場などをジョブローテーションしていきました。ここも違う気がする、向いてるとまでは言えない――なんてやっているうち3年が経とうとしています。4部署ほど回っても、天職はおろか、もうちょっとやりたい仕事すらありません。
この時期になって、そもそも天職をみつけるという考え方自体が間違っていたのではないかと思い始めました。
なぜそう思ったのでしょう。

就職と就社、天職と『天社』

日本の就職は、イコール就社だと言われることがあります。そうでない企業も沢山あるでしょうが、私の務める企業はそうでした。
自社のプロフェッショナルになること――それが私がジョブローテーションする理由です。そのため、与えられる仕事はその分野の知識(例えば、社会保険・プログラミング・人材管理)ではなく、企業特有の知識(例えば、社員とのつながり・社内システムの構造)に紐づいていました。
こういった企業で働いて見つけられるのは、天職ではなく、さしずめ『天社』とでも言えましょう。

天職探しをしたい人は、専門性を必要とされる企業が魅力的には見えないため、就社体質の企業を選びがちです。そうすると、見つけられるのは『天社』もしくは『天部』くらいのものでしょう。
これが冒頭で私の言った、天職が見つからない理由です。

じゃあどうすればいいのよ!という答えは、自分にも出ていませんが、色々と考えたことはあります。

それでも天職探しは終わらない

今私が考えている天職を見つける方法は「与えられた以外のことをする」こと。
簡単だと思われるかもしれませんが、天職探しをするタイプは、自分の可能性を捨てきれない人なのです。「あれもこれもできるかもしれない」と思っているので、自分が何をするかは誰かに決めてほしいのです。
でも、それではいつまでも天職探しで一生を終えてしまいます。
自分の中から、天職と呼びたいものが出てこないのは性分だから仕方ない。とりあえず、選択肢をつぶすために自分から手を伸ばすしかない。そう思うようになりました。

最後に、オードリー若林正恭さんの本「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫) 」から、一節を紹介します。

黒ひげ危機一髪で遊びながら、オードリーが売れるまでにいろんな試行錯誤をしたことを思い返し、自分の将来をも黒ひげ危機一髪に重ねている場面。

剣刺さなきゃな~。なんせ穴だらけだから。とにかく刺して、穴の数を減らさなきゃいけない。
(中略)
何かをして何も起こらなかった時、飛ぶ可能性は上がっている。

何も得られなくても、一歩天職に近付いているんだ。
そう思わせてくれることばでした。